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契約の再生

契約の再生
内田 貴

定価: ¥ 2,100
販売価格: ¥ 2,100
人気ランキング: 85434位
おすすめ度:
発売日: 1990-10
発売元: 弘文堂
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民法と政治思想
「実は民法の規定に依れば,基本的には契約書を交わさない口約束だけで契約は有効に成立することになっている」と受け売りの知識を披露すると驚かれる.しかし民法五五五条に契約は「約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」とある.このように民法規定の「原則論」は現実の取引慣行と「乖離」している.もちろん,現実に合わない「原則」は「例外」により修正を受け現実に合致するようになっているが.
本書が問題としているのは,現実と合致しない「原則」を原則と捉え,それに修正を施すことによって「何とか」体系として面目を保つことができる体系観である.
具体的な槍玉に挙がるのは契約法理だ.当事者同士の意思の合致により契約が成立するという元来の契約原理への疑問が本書の問題意識にある.そして著者はオルタナティブとなる契約観を提示してみせる.功利主義に端を発する「法と経済学」的契約理論,共同体主義を背景とした関係的契約理論などである.
著者の民法教科書は学生に愛用されているが,本書を読めば,著者の民法観をより深く理解できるだろう.教科書の次のステップを探している人にお勧めです.

内田民法の背景に本書あり
法学を全く勉強したことがない人に「実は民法の規定に依れば,基本的には契約書を交わさない口約束だけで契約は有効に成立することになっている」と受け売りの知識を披露すると驚かれることが多い.しかし例えば民法五五五条を引くと「約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」とある.六法を見せると釈然としない様子で納得してくれるのだが,確かに民法規定の「原則論」は現実の取引慣行と「乖離」している.ただ,そこは法律のよくできたところで,現実に合わない「原則」は「例外」により修正を受け現実に合致するようになっている.
本書が問題としているのは,現実と合致しない「原則」を原則と捉え,それに修正を施すことによって「何とか」体系として面目を保つことができる体系観である.
具体的な槍玉にあがるのは契約法理だ.当事者同士の意思の合致により契約が成立するという元来の契約原理…古典的契約原理…への疑問が本書の問題意識にある.本書に依れば古典的契約原理は広義のリベラリズムに根差しており,リベラリズムは近代(法)を支配するパラダイムであったことが語られる.そして著者は,古典的契約原理=リベラリズムのオルタナティブとして,異なる「政治思想に」基づいた契約観を提示してみせる.功利主義に端を発する「法と経済学」的契約理論,共同体主義を背景とした関係的契約理論などであるが,結論だけ言えば,筆者は関係的契約理論が有効であると言う.ところで,著者は本書を『契約と事情変更』の著者である五十嵐清先生に捧げているが,本書を通して読むとその意味が分かるだろう.また本書を読むと,民法に対する著者の思想をより深く理解できるだろう.著者の民法教科書は学生に愛用されているが,教科書のバックボーンを知ることは,記述内容のより深い理解のためにも有効ではないだろうか.

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