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狭山事件
鎌田 慧

定価: ¥ 2,310
販売価格: ¥ 2,310
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おすすめ度:

発売日: 2004-05-26
発売元: 草思社
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昭和38年5月1日、埼玉県狭山市で16歳の女子高校生「中田善枝さん」が下校途中に行方不明になった。同日深夜、「善枝さん」の自宅に20万円の身代金を要求する脅迫状が送りつけられ、その3日後、彼女は絞殺死体で発見された。埼玉県警と狭山署は鋭利誘拐殺人事件として捜査を始め、「石川一雄」という被差別部落出身の青年(当時24歳)を別件で逮捕する。6月23日、石川青年は身代金目当てに「善枝さん」を誘拐して殺したことを自供。昭和39年3月11日、浦和地裁で死刑判決が言い渡されるが、2審の東京高裁で一転、無実を訴える。同高裁は10年に及ぶ長い審理の末、死刑を無期懲役に減刑する判決を言い渡した。この間、ズサンな見込み捜査と、不公正な裁判に世論の注目が集まり、「石川一雄」の冤罪を晴らす再審請求運動が広がっていく。いわゆる「狭山事件」である。 著者の鎌田慧は『弘前大学教授夫人殺人事件』や『死刑台からの生還』(「財田川事件」)で、冤罪事件を追ったフリーのジャーナリストだが、本書は単なる冤罪物語ではない。捜査官の毒々しい功名心と被差別部落に対する差別意識、被差別部落の貧困が生んだ無知と非識字、凶悪な犯人像を作り上げ捜査陣の“お手柄”を美談化する新聞の軽薄な正義感、捜査員の作意を疑わない裁判所の司法仲間意識。「狭山事件」は、そうしたものの複合汚染的結果だった。著者は、被差別部落に育った若者の、小学校にさえ通えなかった悲惨さと、文字から疎外されたものの苦悩と恐怖を、地を這うような取材で再現してみせる。そして「文字を使いこなせる人間が、文字を使えない人間に寄り添うことのできない傲慢さ」と、裁判所の人間洞察の貧しさを、冤罪の要因として指摘するのである。 しかし、無知と非識字のゆえに「やったと言えば、10年で出してやる」という捜査官の甘言を信じ、一時は死刑台の下まで引ずっていかれた若者が、「三鷹事件」の死刑囚「竹内景助」との出会いを契機に文字に目覚め、やがて歌が詠めるまでに成長していく。その過程で「死刑囚」の前を通り過ぎていった群像の記録は、戦後事件史の裏面をさまざまに明かしてくれる。その意味でも『狭山事件』は、単なる冤罪物語ではない。(伊藤延司)
勉強になりました
当時は大変に世間をにぎわしたというこの事件、私は今年(2005年)になって知りました。興味があり、まず最初に読んだのがこの本でした。
この本は、真犯人を推理したり、つきつめたりしている本ではなく、疑いをかけられ、冤罪を主張し続けている石川一雄さんの無罪を信じる著者が、石川さんを応援し、もう一度ちゃんとした公正な裁判を求めている本です。私は、当然事件を目撃してませんし、何も言えませんが、ただ、警察の怠慢、被差別部落民への強く根深い偏見と差別意識、無責任を強く感じ、冤罪というものがどういう構図で出来上がっていくのか、勉強になりました。
事件そのものとは別に、石川さん自身が、読み書きが苦手で世事に疎かったことを悔い、刑務所で猛勉強されたというところなどは、感動もしました。強く深い一念が人をこんなにも成長させるのかと。
ただ、この本は、ある程度事件のことや経過を知っている人にはいいと思いますが、私の様に事件について全く知らなかった者には、少しわかりづらいと思うところもあり、星4つにさせて頂きました。
著者の取材力に脱帽
冤罪の可能性が高いとされる同事件。著者は石川一雄氏の冤罪を信じて疑わない。冤罪なのか偽装なのか本当のところは分からないし、今後も真相が究明されることはないのだろう。裁判所が認定する「事実」と、実社会上の「真実」とは必ずしも一致しないのだから。しかし、著書を読むと冤罪が作られる構図がよく分かる。強引な、そして自白偏重の捜査…。冤罪の根源が、著者の数年にもわたる緻密な取材で浮かび上がる。そして、当時の石川氏の実態像がまざまざと蘇る。本作に描かれた実態は、数十年前の事件とは思えないほど鮮やかで繊細だ。著者の作品はどれも綿密な取材がされており、読んでいて面白い。そして冤罪事件を考える上では著書は必読といえる。
いったい真犯人は誰なんだ
石川氏が無罪なんだと言うことは、読めば読むほど痛いほど分かります。
しかし、それが分かれば分かるほど気になる、「真犯人は誰だ」という問いには、本書は全く答えてくれません。
この問いに答えられない限り、狭山事件の真実に迫ったとは言えないのではないでしょうか。
その答えこそ、石川氏の無罪を証明する一番の近道のはずです。
フラストレーションの溜まる本でした。
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