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「治安国家」拒否宣言―「共謀罪」がやってくる

「治安国家」拒否宣言―「共謀罪」がやってくる
斎藤 貴男
「治安国家」拒否宣言―「共謀罪」がやってくる
定価: ¥ 1,785
販売価格: ¥ 1,785
人気ランキング: 205252位
おすすめ度:
発売日: 2005-06
発売元: 晶文社
発送可能時期: 通常3?5週間以内に発送

悪法もまた法なり?
スピーディかつタイムリーな対抗的緊急出版。
本書のテーマとなっているのは「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案(組織犯罪処罰法第六条の二)」で、2000年12月に採択され日本も批准した国連越境組織犯罪防止条約に基づき閣議決定され、国会へ提出された法案(本書刊行後に一度は不成立となったが、さきの参議院選での与党大勝の勢いを受けて再提出)。
しかし、その内容の方はと言えば、「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するため」という大義名分ともきれいさっぱり無関係に「共謀罪」を規定するもの。詳しくは本書にも収録されている法律案原文を一読願いたい。
「国際化」の旗幟を戴いて、なおかつここまでドメスティックな内容しか持たない法律を立案されると、さすがにシュールな冗談にしか思えない。
「定義」とか「論理的思考」とかいうものとはハナから無縁な連中に法律なんてものを作らせたらロクなことにはならない、というイイ見本ではある。通信傍受法しかり、周辺事態法しかり、住民基本台帳法しかり、個人情報保護法しかり。その遷延に今回の法案も位置づけられる。
「悪法もまた法なり」という言葉はたしかにその通りだが、(国家に対する規定を定めた)憲法を無視して作られる昨今の「法律」は、いかなる意味においても法の名に値しない。
今回のこの法律案に対する感想はと言えば、本書中で山の手緑が言うこの一言に尽きる。
「戦時体制っていうと何か凄そうなんだけど、現実はあまりに馬鹿らしく、せこすぎる。そして、ただどうしようもなく惨めだ。」
そして当然のように、そんな惨めなオツムしか持たない連中の言うコトに従うほど、あちきらは安くないっす。
個別の議論には多少の異論を挟む余地もあるが、本書の性質上、早急に広く一読を勧めたい。
その辺を加味して評価は星5つ。

共謀罪をわかりやすく学ぶ
本書は弁護士や研究者による法律や歴史の解説、もうひとつはジャーナリスト達の証言、そして現場でたたかう人たちの声をとりあげている。かれらの様々な立場や経験から、共謀罪をめぐる問題を浮き彫りにすることで、この間の治安国家化の流れをわかりやすく説明してくれる。
 そのなかでも僕がとりわけ惹かれたのは「現場の声」だ。執筆者の一人であるなすびさんが書いた「野宿者は共謀しなければ生きられない」という言葉が目に留まった。それまで抽象的にしか考えてなかった共謀罪のことが、胸に落ちたような気がした。
本書のなかで斎藤貴男さんがいうように、共謀罪をはじめとする一連の治安法とその制定の動きが、構造改革路線による階層間格差の広がり、それから軍事大国化による社会の不安定化を動力にして、「過激派、オウム、オタク、ひきこもりなど、単純で、わかりやすい『市民の敵』」をつくり出す」装置として機能することを期待されているものだとすれば、僕たちのほんのささやかな権利の主張は共謀の罪に他ならなくなるだろう。
共謀罪のことをわかりやすく学ぶにはいい本。ただし論考のクオリティにばらつきがあるから星みっつ。

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