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憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)

憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)
阿川 尚之
憲法で読むアメリカ史(上) (PHP新書)
定価: ¥ 840
販売価格: ¥ 840
人気ランキング: 95106位
おすすめ度:
発売日: 2004-09-16
発売元: PHP研究所
発送可能時期: 通常24時間以内に発送

ああ、おもしろい
アメリカの歴史が全部本書でわかるわけではない。
しかしかの国の歴史を貫く縦糸のひとつとして
本書は貴重である。
領土を拡大していく過程で、いろいろなことがおこる。
奴隷制もそのひとつであったのだろう。
南部と北部の対立点がそれだけだったわけ
ではないだろうけど。
ルイジアナの購入、テキサスの編入など、
なんかすごい話ではある。
50州すべての生い立ちに、
たぶんドラマがあるのだろう。

「合衆国」ってなんだろうと思った人に
合衆国という国家は、国家である前に理念を軸に造られた「システム」であることが、本書を読むとよくわかります。

英国を倒して「自由と平等」を取り戻すという崇高な理念を掲げた独立宣言。しかし英国を倒して団結する必要がなくなって、今度はそれぞれが独自の権利を主張する州をまとめて連邦を維持する為に、どうしても理念を一度棚上げにして現実的に機能する「システム」を造る必要が出てきました。本書には、このシステムの骨格である合衆国憲法が、時代の要請による解釈を通じて肉を得て、実体を持つようになる過程がとても読み易く描かれています。

上巻はリンカーンまで。そもそもリンカーン理解の為に読み始めたのですが、有名なゲティスバーグの演説から奴隷解放までの一連の彼の言葉が、彼個人の独創というより、「理念(独立宣言)」と「システム(憲法)」の建国以来のせめぎ合いの流れの必然であったことがよくわかりました。

付録は原文の合衆国憲法全文。原文の段階で解釈が様々あるわけで、訳してしまうとそれだけで翻訳によるバイアスがかかってしまう以上、憲法解釈の本に訳がないのは当然だと考えます。下巻の参考文献にある『アメリカ合衆国憲法を英文で読む』を読むと、合衆国憲法がいかに曖昧で柔軟にできているか、またそれゆえにいかに訳が困難であるかがわかります。

「憲法で読む」以上、通史としては分かりにくいところもありますが、物語として面白く書かれているのでここから歴史を学んでも悪くないと思います。とにかく面白かったです。読んでよかった!

個人的好みが出ているがやはり良書
僕は現在(2007年5月19日)この著者のゼミを取っており、じかにアメリカの憲法判例を読み込み、その判決が当時のアメリカ社会や政治に与えた影響などについての講義を受けています。そこから受ける印象は、やはりこの著者はよく言うと親米家、悪く言うとアメリカマニアで、ゼミ中も著者の趣味で話がややマニアックな方向に脱線することがよくあります。

この本もやはりその色を強く感じさせるもので、確かに歴史の転換点で生じた憲法問題や裁判の判決の論理について詳述している部分はとても興味深いのですが、著者の個人的な趣味から話がややマニアックになったりと、アメリカにそれ程興味がない人にとっては冗長に感じる部分が少なくないです。逆に、アメリカ好きにとっては、たまらない一冊とも言えます。

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