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集団的自衛権とは何か (岩波新書 新赤版 1081)

集団的自衛権とは何か (岩波新書 新赤版 1081)
豊下 楢彦
集団的自衛権とは何か (岩波新書 新赤版 1081)
定価: ¥ 819
販売価格: ¥ 819
人気ランキング: 77272位
おすすめ度:
発売日: 2007-07
発売元: 岩波書店
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集団的自衛権を考えるに役立つ本だ
 予てより、集団的自衛権なるものを日本が持っていないことに対する理不尽さを感じていたので、もう少しこのことを知ってみたいと思って読んだ。
 読後感を一言でいうと、読む前には、是非とも集団的自衛権を持たなければならないという、はやるような気持ちであったものが、少しは沈静化した。著者の論理的な思考がそうさせたのだと思う。
 先制攻撃を旨とするブッシュ・ドクトリンやイスラエルのオシラク空爆の引用、英国のようにアメリカと肩を並べることの出来る関係を築くためには集団的自衛権の行使が必要であるという安倍元首相の談話に対する批判など、具体的な事例と過去の歴史をひいての記述は説得力があり、なかなか読み応えがある。
 そして、集団的自衛権の行使は日本国憲法を変えない限り不可能であり、また日本国憲法を変える必要はない、という著者の主張もよくわかった。
 このような著者の論理に対しては、私としては反論するべき材料がないのでなんとも言い難いが(或いは著者の主張は論理的に正しいのだろう)、一方で核を保有している北朝鮮、軍備を増強している中国、という現実が厳然としてあるわけで、日本国憲法の制約と隣国の核や軍事力の脅威に対する臨機応変策はないものか、と模索したい思いである。即ち、大局的には集団的自衛権の行使については国家の問題として熟慮した上での決定がなければならないが、局部的な対応には速やかに対処すべきではないか、と考えるものである。私の言う局部的とは、例えば、アメリカとの訓練中にアメリカ艦船が襲われたときの共同での反撃とか、日本の軍事管理内をミサイルが通過してアメリカを攻撃したときの撃墜、などである。
 著者と私との間には考えに隔たりがあることを感じたが、それでもこういうことを考える機会を与えてくれたことは、この本のおかげである。多くの人がこの本を読んで集団的自衛権や日本国憲法を考えてもらいたいと思った。
 

「集団的自衛権」をわかりやすく解説した一冊
「集団的自衛権」は何なのだろうか。本書を読めばわかりやすく解説されているのですらすらと知識を得ることができるであろう。
しかし、この「集団的自衛権」を憲法上で解釈してもこれを主張することが非常に難しい。私自身、この「集団的自衛権」を行使すべく憲法改正は行うべきだと考えるが、防衛省がこの「国際貢献」を為すためにイラクへの給油を行っていたのではないだろうか(実際転用疑惑もあるけど)。この「集団的自衛権」が言い出し始めた、というより話題となったのが「イラク戦争」でしょうか。たしか記憶によれば2004年秋ごろに陸上自衛隊がイラクのサマワに派遣されたというのがありましたね。
しかし著者は、偏りはあるものの実証に基づき「検証」を行っているため非常に中立的・中道的な解釈を行っているように感じた。しかし第6章については別。ものすごい持論を持ち出したなぁ、と思った。いやはやすごい一冊である。

繊細なロジック・大胆な議論
本書を書くに当たって著者が念頭に置いているのは、いわゆる「俗論」というヤツである。一見「常識」のようでありながら、実はその根拠がよくわからない政治的主張。典型は、本書でもしばしば言及される安倍晋三のそれであるが、そのような「俗論」を吐くのは政治家とは限らない。おそらく、著者が日々前にしているであろう学生などにも、「集団的自衛権は自然権のごとく行使できて当然のものではないのか」「日米安保体制の片務性を克服すべきなのは当然だ」「ミサイル防衛システムを整備して何が問題なのか」といった意見を持っている者は多くいる。

著者は、豊富で着実な実証から導き出される繊細なロジックに基づいて、そうした「俗論」を検証し、一つ一つ反駁していく。この丁寧な叙述の過程には、外交史家たる著者の面目躍如を見ることができよう。さらに、繊細なロジックは、こうした反駁にとどまることがない。最も長い第6章においてそれは、「日本外交のオルタナティブ」というチャレンジングなテーマへ切り込むための刀ともなる。実証に堕することないこの挑戦的試論の大胆さを前にしては、著者に対する敬服の念を評者は禁じ得ない。

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